店先に見本のTシャツが風に揺れている。
いつも同じシャツが出されていて、そのシャツには「なんくるないさ」と書かれている。
もうダメだと思っても希望をなくさなければなんとかなる。なんくるないさーと書かれている。
もっと長い文なのだけど、かいつまむとそんなことが書いてある。
私はその店を通る度に、そのシャツの文字を読んでいる。
今日も立ち止まって読んでいると、店先を掃いていた店員さんが、こちらにそのTシャツありますよ、と教えてくれた。
私はここを通る度に読んでいることを話した。
買わなくてごめんなさいと話した。
お店の人は笑って、読んでくださいと言ってくれた。
いつかそのTシャツを買おうか。